佐々木 絵美子(ささき えみこ)さん
(写真 右)
遠山 ルミ子(とおやま るみこ)さん
(写真 左)
の姉妹
秋田県羽後町出身、羽後町在住
高校在学中に理容師、美容師の勉強を通信教育で学び、卒業後資格取得、理容師・美容師として働かれ、現在は、お二人で理美容室『soeur(スール)』を経営されています。
今回も研究員の播磨菜月(国際教養大学 4年生、2021年4月から7月末の期間、NPO法人みらいの学校でインターンシップ)と一緒に、絵美子さん・ルミ子さん姉妹にインタビューしました。
第1話は、理容師、美容師となる夢へ向かう挑戦や、実際に働かれてお店を持つまでの葛藤についておうかがいしました。
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第2話は、働く前と働き出してからのギャップやお勤め時代とお店を持たれてからの変化などに迫ります!
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所長)働きだしてこれまで見えていなかったものが見えてギャップを感じるわけですが、それを乗り越えると新しいものが見えてきますよね。過去を振り返ってみたら大変だった時の方が良い思い出になっていたりしませんか。
ルミ子さん)そうですね。たくさん失敗しましたし、その時は辛かったですが、今はもう笑い話になっていたりします。
菜月)失敗からどのように立ち直っていましたか。
ルミ子さん)ひたすら落ち込んでいました(笑)
引きずって次のお客様に影響してしまうこともありましたが、徐々に隠せるようになっていきました。
絵美子さん)次の日仕事ができないくらい落ち込んでいましたが、落ち込んでいられないんですよね。
所長)失敗が怖いと感じるので、なかなか前に進めないといったこともありますよね。
秋田県は美容室や理容室が多いので、そのような面でも出店することは勇気が必要だと思うのですが、そのあたりはいかがでしたか。
ルミ子さん)やるしかないと思っていました。「こんな不景気にお店を出すの?」と言われもしましたが、私たちはバブルの時代を知らないですし不景気でも突き進みました。
絵美子さん)やると言ったのに辞めるなんて父にも言えないですし(笑)
所長)その決断に対し、お父様から反対はなかったですか。
絵美子さん)いずれ自分たちでお店を持ちたいという話はしていたので反対はなかったです。私たちのために建物の材料を一部準備してくれていて、お店にある棚も作ってくれました。
所長)お父様の優しさが感じられますね。お店を始めて勤めていたときと比べ変化はありましたか。
絵美子さん)経営者目線になりました。
ルミ子さん)経営者になってその立場の大変さがはじめて分かって、以前勤めていたオーナーが言っていたことの意味を実感しています。何度も危機に陥りましたが、利益が出ないと生活していけないという危機感や、なんとしてでもお店を続けさせるという想いで頑張ってきました。
絵美子さん)今も、どうすればお客様が来てくれるのかを考えない日はないです。
ルミ子さん)そうだね。勤めていた時は、ご来店いただいたお客様への対応をしっかりとこなすという感じでしたが、今はどのようにすればご来店いただけるかということまで考えるようになりました。
所長)向き合い方が変わったということですね。
ルミ子さん)そうです。
菜月)多くの人は行きつけのお店があると思うのですが、どのような方法で呼び込んでいるのですか。
ルミ子さん)お店を知ってもらうために、チラシを一軒ずつポスティングしたり、新聞折込を出したりしています。お客様がお店を変えるのは勇気がいることですから、新しくご来店いただくお客様も、以前のお店でお世話になったお客様も、一人一人大切にして次に繋げたいと思っています。何度か来ていただくことで、髪質や好みの髪型が分かってくるのでリピートくださると、とても嬉しくなります。
菜月)またお願いしたいと思ってもらえている証拠なのでそれは嬉しいですね!
絵美子さん)チラシはたくさん配りました。100枚配って1人来るか来ないかくらいですが、生活していかないといけないのでひたすら配りました。
所長)100枚配って1人なら、1000枚配れば10人来るんじゃないかみたいなことが楽しさになってきたりしませんか。
絵美子さん)そうですね。例えば10人来てもらうことが目標だったら、10人来るまで続ければいいんじゃないかとか、そのような意識に変わっていきました。
ルミ子さん)時期的なこともあったりします。農繁期はたくさんチラシを配ってもなかなか来ていただけない日がある一方で、予約が集中する日もあります。
所長)お店の宣伝を含め、全ての業務をお二人でこなしていると思うのですが、そのあたりの大変さはお勤めしていたときと比べどうですか。
絵美子さん)確定申告の時期は本当に嫌でした(笑)
でも今はお客様と接する時間以外の業務にも楽しさを見いだせています。
ルミ子さん)振り返ると、これまでの流れや経験は、私が今ここにあるために必要なことだったと思っています。以前は、専門学校に通っていれば海外で学ぶ機会やメイクや着付けの勉強ができること、有名サロンで働けたかもしれないと考えることもありました。羨ましさや憧れのように、隣の芝生が青く見えていた時期もありました(笑)
所長)若い時ほど青く見えるんですよね(笑)
お二人は、学生時代から今のご職業に就くために進んできましたよね。お父様が厳しかったというお話しもありましたが、これをご自身のお子さんに置き換えて考えたときはどのようにされますか。
絵美子さん)子供がやりたいと言ったことはやらせてあげたいですね。
所長)とは言え、子供に大変な思いをさせたくないと思っている親も多いと思いますがそのあたりはいかがですか。
ルミ子さん)そうですね、大変な思いはさせたくないです。
所長)子供に親の考えを押し付けたくないという気持ちがある一方で、やはり親としての考えを言うのか言わないのかという部分が難しいと思うのですがこのあたりはいかがですか?できれば秋田に残ってほしいとか。
絵美子さん)私は親としての考えを言うと思います。でも子供が行きたいんだったら海外でもどこでもいいので好きなことをしてもらいたいです。一回きりの人生なので、色々な世界を見て挫折もしながら楽しんでもらいたいです。
ルミ子さん)私も親としての気持ちは言うかなぁ。でも押し付けたくはないですし、子供がやりたいと言うなら好きなことをしてもらいたいです。安定した職に就いてほしいというのが本音ではありますが(笑)
所長)なるほど。
今は検索すれば欲しい情報が簡単に手に入りますし、5年先のことも分からないような時代の変化スピードですが、お子さんたちにどのような経験をさせたいですか。
絵美子さん)本物を見てもらいたいと思っています。例えば、見たいものをテレビで見るのではなく、実際に現地に行って見るというように、本物を見てもらいたいです。
所長)そのお話し共感できます。
単に知るだけでなく詳しく知るといったことで生まれる何かがあったりますからね。ルミ子さんはどうですか。
ルミ子さん)なんでも経験して欲しいです。実際に触れたり、見たり、やってみたり、そういう経験をして自信に繋げていって欲しいです。
菜月)色々なことを経験して欲しいということですが、お二人は学生の頃から一つの道に集中して頑張ってこられたからこそ、このお店があると思うのですが、そこを踏まえても色々なことに触れた方がいいと思いますか。
ルミ子さん)そうですね。私の知り合いにも理容師の資格を持っているけれども他の仕事をしている方々がいて、話を聞くと色々経験したかったと思うこともあります。実際やろうと思えば他の仕事をすることもきっとできました。私たちは偶然ブレずに打ち込めているということで、もしやりたいことを探している最中だとすれば色々なことを経験してみることがいいと思います。
絵美子さん)実際働いてみるとイメージと違ったりすることもあるので、合わないと思ったら辞めてもいいと思います。やる前から考え込まないで、とりあえずやってみようという感じとか、これ楽しそうだなって興味を持つことが大事だよね。
ルミ子さん)そうだね。興味を持つということは、それが好きなことだったりするので色々な視点からやってみたいことを探したら面白いかもしれませんね。私たちはお店の中でおこなう仕事がメインなので、外に出る営業がいいなと思うことがあります。
父は大工なので、夏は涼しくて冬は温かいところで仕事ができて羨ましいと言われていましたが(笑)
所長)なるほど、仕事を見る視点ですね。様々なことを経験していく中で、自分が働くにあたり大切にしたい軸が見えてくるのかもしれないですね。先程たくさん失敗してきたとお話しされていたのですが、とは言え失敗はしたくないですよね。そこで迷ってしまうこともあると思うんです。ご自身のお店を持つときの決断力はどのように養ってきたのでしょうか。
ルミ子さん)明確ではないのですが、経験を積んできたという自信があるからこそお店を出すという決断に踏み切れたと思います。
所長)経験が自信に変わるということですね。
働く女性の経験からお伺いしたい質問で、男性の場合は結婚や子供が生まれることで仕事に大きな影響はないように感じますから、そのことを考えずに仕事を選んでいると思います。女性の場合は、結婚や出産、仕事や働くことを合わせて考える時期もあると思うんです。このような点についてのお考えや感じることについてお聞かせいただけますか。
絵美子さん)私は結婚して出産するという人生設計があってその通りにいっているので、仕事とプライベートを天秤にかけたということはないように思います。結婚しないという選択をしている方ももちろんいますね。
ルミ子さん)人生も計画通りにはいかないことの方が多いので、私はその時期に気を使いました。出産は自分たちのお店を持ってからでしたが、もしそれが勤めていた時期であれば違う人生になっていたかもしれません。一つ言えるのは、もし結婚したい人と出会ったときに、結婚の時期などを会社のために犠牲にするのは止めた方がいいと思います。子供が欲しいと思ったときに、会社に気を使っていると時期を逃してしまうかもしれないので。
絵美子さん)そうですね、自分の人生だから会社や仕事にそこまで気を使わなくていいと思います。
ルミ子さん)仕事が楽しくなってくるとプライベートが後回しになりがちですが、女性の方が危機感を持っているかもしれないですね。例えば何歳までに子供を生みたいとか、そういう人生プランはやんわり立てていてもいいかもしれない。
菜月)なるほど、参考になります。
お二人の人生プランとして、これからの目標はなんですか。
ルミ子さん)今と変わらず二人でお店を続けていきたいです。
絵美子さん)そうだね、あとは健康でいたいです。
所長)健康ってめちゃくちゃ大事ですよね。
わたしももう歳なのでよくわかります(笑)
ルミ子さん)2号店を出したいとか大それたことではなく、来てくださるお客様を大切にして、この先も長くお付き合いしていきたいです。あとはたくさんの方にこのお店を知っていただきたいです。
所長)では最後に、これから社会に出ていく若者へのメッセージをお願いします。
ルミ子さん)ありきたりですが、失敗を怖がらずに挑戦して欲しいです。何回失敗しても大丈夫!それを繰り返して、必ず成功できるときが来ると思うので、どんどん経験していってもらいたいです。
絵美子さん)そうだね、失敗と成功って何度繰り返してもいいので、とにかく失敗を恐れないことですかね。ありきたりですよね(笑)
所長)でもありきたりなことが、逆に埋もれている場合もあるので大事なことだと思います。ありがとうございます。
ルミ子さん)私たちはこんな失敗してきた人いるの?っていうことをたくさんしてきて、でも今はこうして自信を付けられているのできっと大丈夫です。
所長)失敗は成功のもとということですね。
本日はありがとうございました。
取材日:2021年6月29日
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絵美子さん、ルミ子さん、お忙しい中、様々なお話しをお聞かせいただきありがとうございました。
お二人が経営される理美容室『soeur(スール)』の情報は以下から確認できます。
Instagram:https://www.instagram.com/soeur0424/
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