100年持続可能な道の駅へ
取材:小川珠穂
取材日:2022.2.28
「近き者説(よろこ)び、遠き者来たる」を社是に掲げる株式会社おも・しぇは、道の駅うごが地域の方々に楽しさや喜びなどを感じていただける場所であり、町外から訪れるお客さまに喜んで帰っていただける場であることを目指している。
農業の町、羽後町で開設して6年目、現在は年間約74万人が訪れる。当初、2億円ほどであった売上は今期4億5000万円を見込み開業時の倍以上となる。道の駅開業の背景には、米の消費量が減少したことによる農家の所得低下と人口減少という問題、農業と町の活性化といった課題もあり、道の駅の来場者や売上が増加することでこの解決につながっている。
道の駅うごが好調の要因として、伝統を守る姿勢と顧客ニーズを捉えたサービスの提供がある。レストランでは、200年を越える地域の伝統的な食文化「西馬音内そば」を提供する。一方、惣菜メニューでは、常に手を加えながら旬の素材を生かす家庭的な料理を提供し、お客さまが飽きのこないサービスを手掛けている。また、直売所、カフェ、レストラン、ジェラートショップそれぞれの部門が前年度を上回るための計画を検討し取り組んでいる。
道の駅うご開業後は、地域で西馬音内そばを提供する店舗への来訪者も増加し、地域への波及効果も生み出している。
1.地元産食材を使った「ここだけの」特産品
秋田の伝統野菜『五葉豆』を使った商品として、甘納豆、煮豆、きなこ、ジェラートなど、地元産食材を使用したオンリーワンのメニュー開発に取り組んでいる。
女性を主ターゲットにした商品開発では、地域ならでは食材や特徴にこだわり、他の道の駅との差別化を図っている。現在は、五葉豆を使った新たなジェラートを企画するなど”羽後町の台所”となることを目指している。
2.幾多のプチ感動を享受して頂く事業運営
従業員一人ひとりによる心のこもったお客さまへの声掛け、ベテラン主婦のつくる家庭的で温かみある地域の味や食文化の提供など、道の駅を訪れるお客さま一人ひとりにプチ感動を得ていただける細やかなサービスを日々積み重ね提供することをモットーとしている。
このような小さな感動を集めることが大きな共感を生み出し、町内外問わずたくさんの方が訪れる要因となっている。
3.町民との協働による持続可能な経営の構築
そば打ち体験場の体験指導では、そば協会の会員の方々に協力を仰ぐ。配食サービス事業では、お弁当の調理をベテラン主婦に委託するなど、外部と協働してひとつの事業にあたっている。町民との協働は経営においてもひとつの標榜となっており、事業やイベントなどの運営において随所で協働がみられる。このような協働が地域の喜びや集客に繋がり、町の活性化に寄与している。
企業情報
社名:株式会社おも・しぇ
事業内容:道の駅うごの運営(直売所、カフェ(Boncafe)、レストラン(端縫いダイニング)、ファストフード店(うごじぇら))・施設管理など
設立:2015年9月1日
代表者:代表取締役 小坂圭助
所在地:秋田県雄勝郡羽後町西馬音内字中野200
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