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執筆者の写真井澤晴香

株式会社鈴木又五郎商店

伝統と革新の両立を目指して

取材:井澤晴香

取材日:2022.08.04

創業は1870年(明治3年)、初代鈴木又五郎が魚屋を開業、その後、塩の専売制が実施された時期に専売特約店として塩の販売を開始、湯沢市が銀山で賑わった時期には酒類販売を開始するなど、時代の流れや地域のニーズに合わせた事業を展開してきた。「誠実と情熱」を経営理念として掲げ、多様な事業を展開する中で、現在は肥料の卸売や土壌に合った適切な肥料指導、農薬の卸売や防除作業など、稲作に関連した事業に重きを置いている。近年は女性をターゲットに、あきたこまちの玄米を使用した『HAPARICE』や、グルテンフリーの『アキタコマチ玄米パンケーキミックス』の販売にも力を注いでいる。これらの商品の開発背景には「がんや脳血管疾患による死亡率ワースト1位の秋田県民の健康意識を高めたい」という思いがある。

会社の強みは、農業者さんに対し農業技術や経営を向上するための支援を専門的におこなう普及指導員が在籍していること。少数精鋭の従業員が様々な業務に関わることでそれぞれの事業を支えている。また、各々の業務に合わせた柔軟な勤務時間で働く体制があることもその要素である。「今後は、小麦の価格高騰という現状を踏まえた上で、新たな時代のニーズに応えていくため、米粉などの粉に関連した事業にも力を入れていきたい」と専務は語られていた。





1.地域に根差した産業であるため人と人とのつながりを大切にしている

創業より、時代や地域のニーズの変化に合わせた事業をおこなう中で、地域に根ざした事業を意識している。顧客や取引先、米の買付先である農家とのコミュニケーションを積極的に図るなど、つながりを意識した仕事を心掛けているからこそ、商売の軸となる安定した仕入れや販売がある。事業だけではなく、地域のイベントにも出展するなど、地域の方との関係性も大切にしている。


2.稲作という伝統文化を守りながらも時代の流れに合わせた仕事の仕方

地域の主幹産業である農業を、肥料や農薬の卸売、土壌分析や適切な肥料指導、普及指導員による農業技術の指導、防除作業などの事業で支えている。また近年は、ドローンによる農薬散布など、機械による農業の効率化にもチカラを入れている。

稲作は弥生時代から続く食を守るための仕事ではあるが、伝統的な文化でもあると捉え、農業の担い手として農業生産にも取り組んでいる。


3.玄米という古来の栄養食材を広めるための活動

以前、ハワイで暮らした経験を持つ専務は、ハワイの健康志向層でポピュラーに食べられていた玄米を、日本の食文化の中にも広めたいという想いを持つ。

2020年には、食物繊維やミネラルなどの栄養価が高い玄米と地元のあきたこまちの白米をブレンドし乳酸菌も加えた、レンジでチンするパックタイプのご飯”HAPARICE”を開発。想いを広める一つの手法としてリリースしている。



企業情報

社名:株式会社鈴木又五郎商店

事業内容:肥料、農薬、飼料、農業資材、米、飲料、アルコール類、うどん、塩の卸問屋。

また、米穀の集荷と検査を行う登録検査機関となっている。企業、個人向けに保険業も取り扱う。

設立:1991年(創業1870年)

従業員数:10名

所在地:秋田県湯沢市大町1-2-26






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