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執筆者の写真宮武世海

行動指針は、量が質を生む!

須田 紘彬(すだ ひろあき)さん

株式会社あきた総研

代表取締役



須田さんに聞いてみました!

■これまでのご経歴を教えて下さい

 大学進学で首都圏へ上京し、新卒で大手企業の岩手県支社に配属になりました。入社して数年後に東日本大震災が発生、被災地の現状を目の当たりにしたことで「自分はこのままでいいのか」と考えるようになりました。その後、退職を決意し、ニュージランドにワーキングホリデーで1年間留学しました。留学中は、仕事の学びや遊びも含め価値観を磨きました。そして帰国後、東京で働き、2013年に秋田へ戻り、今の会社の前身となる秋田就職総合研究所として起業、2016年に株式会社あきた総研を設立しました。


■起業するときに感じた苦労や楽しさを教えてください

起業当初は利益を上げられないことが続きましたので、この点が苦労でした。蓄えた貯金が減っていく不安や焦る気持ちでとても辛い時期を過ごしました。

わたしが事業とする人材系の仕事は、大都市圏と地方ではサービスの単価が一桁違うと感じています。なのに何故、地方である秋田で起業したかは、出身県がみるみる元気を失っていく様を見て「なんとかしたい」という思いがあったことです。ですが、人材育成という事業の性質上、成果として感じていただくには年数を重ね取り組んでいただく必要があり、単年度では費用対効果が見えにくいこと、お客さまとなる会社に興味を持っていただいても予定外の予算を捻出することが難しいといったこともありました。

事業を続けるための仕事の作り方やお金の生み出し方を難しく感じていましたが、転機が来たのは2016年の法人設立後です。2017年度の経済産業省の東北地域中小企業・小規模事業者人材確保・定着等支援事業を受託することができ、その事業を実施していく中で企業の皆さまの事業理解が進み「人材投資は見過ごしがちだが企業にとって必要なことをサポートしてくれる会社」と感じていただけるようになりました。

一方の楽しさは人との出会いです。秋田で一番顔が広いと自負しています。人との出会いからは、大きな気づきや学びが得られます。だからこそ、秋田で最も顔が広いと言うことは、秋田県で一番学べている人間だと自負していますし、そこから得られる関係性や学びが楽しさです。様々な人の価値観に触れることは、自分の価値観や考え方が常にアップデートされる感覚があり楽しいですし、その出会いは必ず財産となります。そのつながりの中でお互いに寄り添い合ったり、相談できたり協力し合えるネットワークのハブになることを目指しています。会社の理念も「出会いが加速する」ですので、わたしと関わる人が同じように新しい出会いと学びや気付きがあると嬉しいです。特に人との出会いがわたし起点に生まれることは承認欲求のひとつとなっていますし、お金では絶対に得られない報酬ですから楽しさでもあり喜びでもあります。



■仕事柄、人と関わることが多いと思いますが、関わる上で意識していることなど教えてください

 先程「秋田で一番顔が広い」というお話をしました。その広さの実体験の話ですが、プライベートでスーパーマーケットやコンビニに買い物にいっても、居酒屋にいても、その場で声を掛けられたり、後日、目撃情報を聞いたりすることが多々あります。わたしは、仕事でもプライベートでも見かけたら声を掛けてほしい側の人間ですが、実は人見知りなんです。価値観的には人見知りですので、新しい人に会うことは恥ずかしいと思っていますが、それ以上に、新しい出会いで自分の価値観がアップデートされることを楽しんでいます。

ですが、世の中には、プライベートを守りたいという考え方ももちろんありますし、声を掛けられたくないという価値観もありますが、わたしは仕事とプライベートにキッチリ線引きしてしまうと人脈は広がらないと考えています。これは、会社の理念である『出会いが加速する』につながる話ですが、むしろ自分を公開したり、失敗も上手くいったことも共有したりしていくことで地域が良くなり、働く人一人ひとりに少しでも気づきがあれば良いと思っていいます。

画像出典:BIC AKITA【経営探訪vol.473】より(発行:あきた企業活性化センター)


■座右の銘やモットーを教えてください

一番に心に持っていることは“量が質を生む”です。新入社員として社会に出た頃「社会人として容易にこなしていける」と社会を甘くみていました。ですが、学んだ知識が上手く発揮できず、自分に自信をなくしていました。そのときの上司が「あなたは自分が思っているほど器用ではないので、すぐに質を目指すのではなく、まずは量をこなすことで質を磨いてはどうか」と、声を掛けていただけました。その言葉が今も心の中に残っています。人生に近道はなく、量をこなすことで慣れていき、慣れてこなす中で違いから質を高めるヒントを見つけると学べましたので、結果が出ずとも量をこなすこと、たくさんの人と出会う努力をしようと思えるようになりました。この言葉はわたしの行動方針となっています。

 また「明日出来ることは今日しない。今日しかできないことをする」という合言葉も持っています。裏返すと「今日をどう生きるか」ということです。どのような要素を組み合わせ今日しか出来ないことを決めるかは、自分で決めて自分で責任を背負う必要があります。考え方として、明日命を失うかもしれない、突然隕石が降ってくるかもしれない。大地震が発生するかもしれないし火事や事故に巻き込まれる可能性もゼロではないということがあります。ですから今日を後悔しない生き方が大事だと思っています。それには今日、何を成長させたいのかを考えることが大切です。ですが今日、何を成長させたいのかを問われると誰しく重い気持ちになります。「そんな問いは考えたくないから嫌だ」といったこともあるでしょう。ですから、小さなことから始めることをオススメします。例えば「新発売の商品」を食べてみた。それは新商品に対しアンテナを張っているからこそ生まれた行動ですので、そこで少し興味を深め「何故、この味に決めたのか」「この商品はヒットするのか」など、小さなことに一つひとつ意識のアンテナを張り巡らせていくことです。それを積み重ねることで多様な視点が育まれ意識の幅も広がります。突き詰めるとそれは、ビジネスのアイデアを養うことにつながっているはずです。

わたしの仕事は人材に関わる職業ですから、そういったことを細かく考えることも多く、考える中で流行や人の気持ちの移り変わりを掴んでいます。そうすることで見える動きもありますし、その中で新しい視点やつながりを増やすことが大切な学びだと思っています。


■変化を恐れず行動していくための心構えを教えてください

 少し哲学的になりますが、我々の細胞は日々生まれ変わり、細胞レベルでみると一年前の自分とはすでに別人ということです。実はこのような変化をしているのに、なぜ変化を恐れ受け止めないのかという話があります。人が変化を恐れるのは「今までの慣れた環境ではなくなるから」「慣れていない環境ではやりにくい」という理由が多いと思います。ですが、自分の気持ちとは裏腹に時代は進み、常に変化しています。その中で立ち止まっていると、いつの間にか環境は慣れないものとなり、自分にとって都合の悪い環境になってしまいます。逆に、自分から変化に適応することで慣れない環境にいる時間は短くなるので、心構えは”変化に自分から適応していくこと”です。


■学生時代にすべきことなど、アドバイスをお願いします

まずは大人に慣れることです。様々な世代や職業の大人と話して慣れていくことをオススメします。例えばそのために「お父さんと話すときと同じテンションで話せるようになる」など、目標を作り行動していくことが大事だと思います。

学生時代は「大人は偉い存在」と錯覚しがちですが、実は精神年齢という面では学生とほとんど違わないと思います。もちろんビジネス的な知識や経験はありますが、たまたま先に生まれ、学生よりもそれを持っているという存在です。価値観的には今の時代を生きている若い世代の方が、明らかに変化の波をしっかり捉えていると思いますし、わたしたち世代が知らないことを若い世代は知っている、若い世代が知らないことを大人の世代が知っているということだと思います。ですから、大人という存在の扱い方を知って慣れていくことが大切だと思います。そのために同世代だけの交流に留めず、地域で行われるイベントやインターンシップなどに参加し、大人と出会う機会をつくりその中で経験を重ねてください。


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取材:宮武世海

取材日:2022.03.29


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