農地を農地として守る
取材:髙橋音都
取材日:2021.08.06
減反政策により荒廃していく農地を農地として守るため、そば栽培による転作を推進されています。そばの栽培、収穫、製粉、そば粉や地元の農産物の卸販売を事業とされています。当時は規模の小さかった農地も、現在は340haと広大な農地となり、町の圃場の1/10を占める。コメどころである秋田でそば栽培に乗り出した理由は、町に冬でも冷たいそばを食べる文化があったからです。法人化は平成24年ですが、その原点には平成10年に発足した羽後町そば栽培研究会があります。社長様が当時から抱かれている『町の食文化を活かして農地を守りたい』という強い想いもあり、地域に合うそばの品種の栽培研究にも取り組んでこられました。社長さまの想いは今も経営理念に深く刻まれています。
そばの栽培研究には引き続き取り組まれておられ、当時からの栽培研究や『栽培・収穫・加工・販売』といった6次産業化への取り組み、生産者へ作業委託することによる地域活性化への取り組みなどが高く評価され、国や県から様々な賞も受賞されています。土地を活かした三つの品種を時期ごとに栽培することで梅雨などの気候によるリスクを分散し、栽培加工においてはJGAPやHACCPを取得し安心安全に対しても積極的に取り組まれています。
1.340haの広大な農地
令和3年度は、340ヘクタールと広大な栽培面積となっています。減反政策の影響や生産者の高齢化により栽培面積は年々増加、今後も増加していくと見込まれています。収量は70トンにもなり、豊作であった過去では108トンもの収量となった年もあるとのことです。製粉所では県内の別地域や県外で収穫されたそばの製粉もおこない、取り扱い量は180トンとなっています。
2.JGAP取得農場
食品安全・労働安全・環境保全など持続可能な農場経営へ取組むためJGAP認証を取得されています。取得に乗り出されたきっかけは、食の安心安全への意識が高まってくるといった社長様の先見の明によるもの。取得までには数多くの根拠書類が必要となり、社員一丸となった体制で取り組まれた。取得継続することで信頼を勝ち取られ、ブランド強化にもつなげておられます。
3.栽培研究
そば研の原点には『農地を農地として守る』といった強い信念があります。平成10年に羽後町そば栽培研究会として発足、栽培するにあたり地域の土壌や気候に合うそばの品種研究からスタートされた。広大な栽培面積となった今も研究活動を継続され、現在は国のプロジェクトにも参加、課題である単収(作付面積に対する10アール当たりの基準収穫量)の低さの解決にも取り組まれています。
企業情報
社名:農業生産法人 株式会社そば研
事業内容:そば生産、製粉
設立:平成24年6月12日
代表者:代表取締役/猪岡專一
所在地:秋田県雄勝郡羽後町大戸字大戸54
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